PRINCESS story
「あっ」
キッチンから出ようとした琴葉だが、何かを思い出したように振り向いた。
「どうかした?」
「たいしたことじゃないんだけどね」
「うん」
「本命は、奏斗だから」
少し恥ずかしそうに、でも、俺の目を見ながら琴葉が言った。
そして、もう一度体の向きを変えると、キッチンを出ていった。
一人残された俺は、その言葉を何度も頭の中で繰り返す。
本命、か……
琴葉……
今度は俺が、ちゃんと気持ちを伝える番だよな?