PRINCESS story
「琴葉姫」
「はい」
「王子との婚礼を祝して、あなたにこれを与えます」
王妃様がそう言いながら私の頭に差したのは、とても美しく輝いているかんざしだった。
私にはこんなもの似合わない…
心の中でそう思い、泣きたくなった。
「桜ノ宮王室に代々受け継がれているものです。大切にしなさい」
「はい、ありがとうございます」
私たちの愛のない婚礼を祝うために開かれた婚礼の儀は、こんな風に始まった。
その後は祝辞が読まれたり、何やらお祓いのようなことをしたり…
とにかく想像以上に長く、様々なことが行われた。