文献:彼岸花についてのレポート
………どうぞ。
「ありがとう…やっぱりか…。」
そう言いながら鏡に写る顔を見るリコリス。
理解してくれてありがとう。
「やっぱりあの時…だな?」
たぶんそうだと思いますが…。
「どうしたものか…。」
俺も分かりませんよ。
その横では男達が意味深な視線をこちらに送ってきている。が、シカトする事にした。
リコリスが何かに気付いたようだ。
「…………!(バタバタと胸などを触る)」
やや顔を朱に染めている。
男に顔を赤らめられてもアレなだけだが。俺にソッチの趣味は無い。
ん?何か気付いたんですか?
「…触らないでよ?」
……はっ!!!
思えばこれは本望!プァルァドゥアーーーイス(パラダイス)!!
と、心の中で大フィーバーしつつ、俺は即答した。
い、いえいえいえいえ、そんな事できませんよ…!
「……ならいいのだが…。」
半信半疑ながらもしぶしぶ引き下がるリコリス。
回想、終了。
これは今から言えばちょっと昔の、人もそこそこな街で始まった物語である。

一話完。
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