ワタシノタイヨウ
彼の唇がゆっくり私の唇から離れると、彼は私を見て微笑んだ。


私は緊張のあまりどうしていいかわからずうつむき、言わなくてもいい事を口にする。


『あっ、あの…初めてなんですけどっ…』


「だろうな。」


彼は私の顎を手で上げニヤリと笑った。そして再び顔を近づける。


「キスくらいは上手くなってもらおうか。」


『…!!』


目の前で見つめながら甘く囁くともう一度唇と唇が重なった。


『…ンンッ………ハア。』


さっきより少し激しいキスをされ初心者の私は全身の力が抜ける。彼はクスクス笑いながら私を抱きしめた。


『先生、面白がってない?』


なんとか声を振り絞って聞くと、彼はとぼけた返事を返し、楽しそうに笑っていた。


「とりあえず、オレたちびしょ濡れだから一度中に戻ろう。」


彼は私の手をぎゅっと握ると、手を繋いだまま歩き出した。


『先生、なんか急に積極的じゃないですか…』


「もう我慢はしない事にした。身体に悪いからな。」


『か、身体に悪いって!?』


彼は歩きながら顔だけ振り返るとニコッと笑い、


「二人っきりの時に限るけどな。オレたちは教師と生徒だから、普段は気をつけないと…」


最後は真剣な表情で言う。


『うん…』


「何かあったら、オレがカスミを守るから安心しろ。」


人目のある所に出た私たちは、繋いでいた手をそっと離した。彼は代わりに私の頭をポンポンっと軽く叩き優しく微笑む。


私はとびっきりの笑顔を彼に返した。そして私は改めて誓う。
ずっと隣りで笑っていよう。彼の太陽でいようと…。


彼が私にとって、唯一の太陽であるように…。



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