ワタシノタイヨウ
「カスミ、間に合ってよかったね〜。」


「でもさ、珍しいね。ギリギリに来るなんて。って、ちょっと聞いてるのぉ?」



そんな友達の問いかけに上の空の私。


なんとか始業式には間に合ったけど……。



まだ信じられない。彼がうちの学校の教師だなんて…。


壇上では、新任教師の紹介がされていた。





  * * * * * *



始業式が終わり、友達と教室へ戻っていると、


「ねぇ、青山先生って言ったっけ?まだ23歳だって若いねぇ。結構かっこいいしタイプかも。」


「え〜私は、英語の今井先生の方がいいなぁ。28歳だけど、見た目若いし笑顔がかわいい。」



そんな友達の会話を隣りで聞きながら、私はひとり呟いていた。



『青山ナオキ‥かぁ』



あまり他人に興味を持たない私が、今朝会ったばかりの彼の事が気になって、ずっと頭から離れずにいた。


この出会いは、偶然か運命か…。

ふと、そんな考えが頭をよぎる。


(運命…って、そんなことあるわけないか…。)


運命なんて、ドラマや小説の中での事…。

あとは特別な人に訪れるもの…。


ごくごく平凡に今まで過ごして来た私に、運命の出会いなんて訪れる訳がない…。



そう思っていた。


でも……


この彼との出会いが、私と彼のこの後の運命を大きく変える事になるなんて…。


そう……

私と出会わなければあなたは…




ただなんとなく毎日を過ごしていた私の生活に、大きな変化が生まれた日…だった。



*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
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