ワタシノタイヨウ
私は内心ドキドキしながら、それを悟られないように、普通に話しを返した。


『えっそうなの?私物理苦手で、何度か解らないとこ聞きに行ってたから…そのときかな…』


うつむいているユウ君がチラッと私の顔を見る。


『他の先生にも聞きに行くし…普通だと思うけど…そんなに仲良さそうに見えた?』


最後の方は少しおどけて言ってみせた。


「そっか…それならいいんだ。」


ユウ君は少しホッとした表情で微笑んだ。


『でも、青山先生ってちょっとかっこいいよね。』


私がいつものように意地悪でユウ君にそう言ってみると、


(まあ、かっこいいってのは本音だけど…)


――バンッ――


「あいつは、やめとけよ!」


テーブルを勢いよく叩いたユウ君は、珍しく大きな声で叫んだ。


一瞬周りがシーンとなる。



「なに、お前ら、また痴話喧嘩?ホント仲いいよなぁ。」


しばらくして誰かがそう言うと、静まり返っていたその場の雰囲気が笑いに変わった。


私は慌てて、


『そ、そうなの。ユウ君ったら、ちょーっとからかったら怒っちゃって。ごめんね、ユウ君。』


とりつくろうように私は言い、ユウ君の肩をポンっと叩いた。


ユウ君はうつむいたまま、


「もういいよ。怒鳴って悪かったよ。」


私にしか聞こえない小さな声でそう言うと、それから帰るまでずっとユウ君は黙っていた。



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