ワタシノタイヨウ
そんな私を見てユウ君は、とても優しい声でそれでいてはっきりと言った。


「オレ先輩の事好きだから。」


それを聞いた私の身体がピクっと震える。


「たとえ今先輩があいつの事好きだとしても、オレ諦めないから。人の気持ちなんて、いつ変わるかわからないじゃん。」


私は少し顔を上げユウ君を見た。


ニカッと笑って私を見つめるユウ君の笑顔がなんだか眩しくて、私は少しドキドキしていた。



「それに…あいつには先輩取られたくないし…」


少し笑顔に陰りが落ちる。



『あの…』


私は何か答えないと、と思い口を開きかけたが、ユウ君がそれを遮るように言った。


「あぁ〜まだ返事とかしないで。先輩の気持ちはわかったから。今振られたら、せっかくかっこよく助け出したのに、結局オレちょーカッコ悪くなっちまうよ…。」


少し淋しそうに笑うと、私の頬に残っている涙をそっと拭う。


『…ありがと。』


私がニコっと笑うとユウ君も一緒に笑った。


「先輩は笑ってるほうがかわいいよ。」


ユウ君は上を向き照れながら言うと、私の手を握り歩き始めた。


「今井には気をつけろよ。まだあいつ何かしてくるかもしれないから…」


『うん…』


「だから今日は家まで送ってってやるよ。」


ユウ君の横顔はいつもよりなんだかたくましく見えた気がした。




私達が一緒に帰っていく姿を彼が窓から見ていた事に、もちろん私は気がつく事はなかった…。



*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
< 89 / 156 >

この作品をシェア

pagetop