嫌いなアイツ
分からないアイツ


 始まりは、いつも些細なこと。だから、拘るなら今にしようよ。
 その意味が、今なら分かる気がした。

 私は、言うなれば不良少女という生徒だ。授業は出ないし、学校もあまり来ない。だから、クラスメイトとは微妙な距離があって、仲が良いとは言えない。友だちは、妙にひっついてくるのが1人くらい。
 今日は親に家を追い出され、渋々学校に来た。もちろん、授業は出ない。でも、保健室に行くわけにもいかないので、また屋上に行った。

「あ」

 先客がいた。制服の青色のラインからして、私と同じ2年生。まだ9時だというのに、気持ちよさそうに寝ていた。
 まあ、先客がいたからといって、遠慮する必要はない。もしものために、少し距離をとって寝る。
 今日は、空が綺麗だ。


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