【完結】キミと運命と裏切りと涙。







「先輩」


「……ん?」


「あたし少しは、あの人と向き合えるようになったかな……」




不安そうな顔をして俯く笹川。


だから俺は、そんな笹川をギュッと抱き寄せた。




「……大丈夫。ちゃんと向き合えてるから」


そして小さな声でそう囁いた。




「……うん」


笹川はやっぱり、まだ不安なんだな……。




母親を拒絶し、母親を嫌い、そして母親を憎んできたからこそ。


……そう思うのかも、しれないな。




本来なら憎む相手じゃない。


でも笹川にとっては辛い試練の壁、だったのかもしれないな。
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