野球が嫌い。あんたも…大っ嫌い!

「そう。俺が美和に渡したあのボール」


「はぁ? あれ味方って言わないし。それにあのボールは野球バカのただの自己満でしょ?」


「あーそうだったな。ははっ」


「ったく…」



実はあのボールもあたしの支えになってる。


健太が想いを込めてくれたボール。


でもそんなこと決して口にはしない。


だってそれじゃあたしも野球バカの色に染まっちゃってるみたいで悔しいじゃない?


だからその言葉だけはそっと心の中にしまっておく。



「さーて。そろそろ教室に戻んなきゃな」



そう健太が言葉にした時、校内にチャイムが鳴り響いた。



「やっべ! ホームルームに遅れたら1週間ボールに触らせてくれないんだった! 美和走って戻るぞ」



慌ててあたしの手を取って走り出す健太。


健太に手を繋がれて走る。


走りながら視界に入っていたのは健太の背中。


でももう、健太の背中を追いかけることも背を向けることもしない。


あたしは走る速度を少しだけ上げて健太の隣に並ぶ。



「ねえ、健太」


「ん?」



あたしが好きになった人は野球バカ。


きっと、ずっと野球バカ。


まだ心から野球を好きになれないけれど、それでもこれだけは胸を張って言える。


あたしの好きな人は野球好きの、野球バカですって。


あたしは繋がれていない方の手で健太の背中を勢いよく叩いた。



「野球、頑張れよ!」







【end】







< 49 / 49 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:26

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

トナカイくんとハッピークリスマス!

総文字数/26,355

恋愛(その他)65ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
お店の前に立っていたのは 真っ赤な鼻をしたトナカイの…、 着ぐるみでした。 クリスマスまでのハッピーラブ☆ 素敵レビューありがとうございます!! 瀬尾凜花様・もりあぃす✧*。様 ゆずとらっこ様 野いちごおススメに選ばれました!! ありがとうございました♪ 2014.11.12 完結
その冷たい手、温めてあげる。

総文字数/18,257

恋愛(学園)55ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
『俺は通常の人より平熱が低い』 そんな代名詞の幼馴染を持つあたしが求めるもの、それはただひとつ。 彼氏にするなら絶対に 『あたしを温めてくれる人』!! 平熱女子 未菜 × 低体温王子 冬馬 2人の手も心も温まる物語。 ☆おススメに選ばれました☆ ありがとうございます!! (旧 幼馴染は低体温)
別れの笑顔

総文字数/998

恋愛(純愛)3ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
彼と過ごす屋上の一時が 私の大切な時間だった。 『彼氏がいるのにカメラの前で…』 2013.2.18

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop