ますかれーど
お父さんが、私を‥好き?



「いつからだろうね?お互いにお話をしなくなったのは‥」



あぁ、そうだ‥



「あの人は全部、瞳で語ろうとするから」



いつも見ていた私と同じ、蒼い瞳。



「口数も少ないしね?」



仮面を貫かれないように
ココロを見透かされないように



「あぁ見えて、結構 心配性なのよ?」



避けていたのは私。



「心‥」



スッと伸びてきた、私と同じ白い腕。



「産まれてきてくれて、ありがとう」



ストレートパーマが落ち掛けて、少しくりんってなってる私の髪を、ゆっくり優しく撫でるお母さん。



「ー‥っく」

「ごめんね。辛い想いを背負わせてしまって‥」

「っ‥」

「私たちは誇りに思っているわ」




“あの時、心を選んだこと”




「ひぃっ‥く」



仮面で隠して閉ざしたココロ。

もう‥

開いても良いのかな?
仮面なんて被らなくても良いのかな?


次から次から溢れては流れるそれを、お母さんは優しくハンカチで拭う。

そんなお母さんの真っ黒で大きな瞳も、ゆらゆらゆらゆらしていた。


ねぇお父さん、お母さん

もう1度

大好きになっても、良いですかーー‥






……ーー~~~♪






ーー‥え?






~~~♪ーー‥♪♪





お母さんの、綺麗な唄声‥。


何語なのかは分からないけど、確かに聞こえた

“愛”“天使”“唄って”

の言葉。



「‥っく、何の、歌?」



お母さんは、ふふっと笑いながら私の両手を握りしめた。



「愛する人へ唄う歌」



愛する人へ唄う歌。

お母さんのお母さんから教えてもらった歌なんだって。


それから、お父さんとお母さんの話をたくさん たくさんしてもらった。


お母さんのお母さんやお父さんは、小さい時に亡くなっていること。

お父さんは親の顔を知らない孤児だったこと。



ーー‥そして

この歌が2人が出逢うキッカケだったこと。



なんだか、嬉しかった。



「だから今、心にこの歌をあげるわ」



この時、



「ふふっ♪親子3代も続く歌」



お母さんと話が出来て、本当に‥



「愛してるわ、心」



本当に、良かった。


でなければ‥

後々

悔やむ事になっていただろうから。



< 70 / 207 >

この作品をシェア

pagetop