拘束お姫様 *番外編開始
( 王子様、あの少女の腰部に、焼印がありました )
眠った彼女を着替えさせたメイドが あの日、不安な表情をしていたのを、今でもはっきりと覚えている。
( あの紋様は、何処かの貴族の印です )
白い肌に不似合いな、痛々しいその焼印の痕。
「最近、貴族の間では 奴隷に己の家紋を入れるのが、流行っているそうだね」
「……っ」
まさか王子が焼印の事を知っているとは思っていなかった彼女達は、返す言葉もなく 黙り込む。
( あたしは、此処に居ていい“存在”ではありません )
あの言葉は、遠まわしに 自分が奴隷だという事を、伝えていたのだ。
けれど彼に厭われてしまう事を恐れた彼女は 真実を伝える事は出来なかった。