love battle - 有名兄弟vs平凡少女 -
大好きな相澤先生が教室に入ってきて、
号令がかかったというのに
あたしには知る由(よし)もなかった。
相澤先生の低音ボイスが耳に響き、
社会の授業は始まってしまった。
それが耳に届いていないかのように
あたしは理系めがねくんへの
質問を続けてすることにした。
「…なんとなく聞いてみただけ」
「藤田は気になるの?」
「…え。どことなく気になってるけど」
静かにゆっくり話す理系めがねくん。
こういう棒読み口調なところは
無愛想だよなって思ってしまう。
本当はどことなくではなくって
かなり気になってるけどあんまりそれを
オープンに言うのも恥ずかしい。
「俺の兄貴だよ、一志は」
衝撃的事実。
あたしは聞いてしまった。