尽きない言葉

01.ないしょのバイト

君を愛したことを

俺は後悔していない。

一途に想い続けたこの気持ちを

俺は絶対忘れない………










俺の弟は昔から根っからのモテキャラで。

端正な顔立ちに、スポーツ万能。
頭は……ちょっと弱いけど、中学３年なんてスポーツできりゃモテる訳で。
今でもモテキャラ続行中の弟。


それに比べて余り恋愛経験の無い俺はモテキャラ弟の兄、真瀬 智哉(ﾏｾ ﾄﾓﾔ)。
普通の奴らよりはちょっと目を引く顔立ちだけど、弟の康太(ｺｳﾀ)と並べば差は歴然。

そんな訳で弟と比べられる為、彼女が居たのは片手で十分数えられる程度。


まぁ、そんなのは関係なくて。

俺、なんか運命感じてる。


「あ、真瀬君だぁ」


大きな目をさらに見開いて俺を指差すのは同じクラスの柊 真奈(ﾋｲﾗｷﾞ ﾏﾅ)。
そして、俺の気になる人。


「…っ柊！も、ここで
　バイトしてるんだっ」


「あははっ！偶然だぁ」


必要最低限しか話したことのない彼女との会話に慣れないからか、体が熱い。