夏恋





…………。



「あのぉ…この状態どうにかしない?」



あたしの上には、怖ーい顔した薫。



両手首を頭の上で押さえられている。



「お母さんとか来たとき、この状態だったら誤解されちゃうんだけど…」



チラッと薫を見ると



「えっ?泣いてるの?」



目いっぱいに溜まった涙。


拭うことも隠すこともせず、あたしを見ている。



「アイツのものなんか、なんなよ…」



「…か、おる?」



「好きなんだよ…」



「……」



「めちゃくちゃにしたいくらい。無理矢理でも俺のものにしたいくらい。好きで好きで…仕方ねぇんだよ」





< 25 / 81 >

この作品をシェア

pagetop