爽恋


あんなチャラい男絶対に無理って思ってた。


だけど、あの夏・・・


――――――――――――
あの夏、あたしは水泳の全国大会へ向けて毎日毎日泳いでた。

でも、

泳げなくなった。


肩の故障で、もう泳げないって医者に言われた。


親、先生、友達・・・
周りにひどく失望された。

自分が一番悲しい、みたいな顔して・・・。



全てに絶望してた。



・・・あの夏、プールで一人で泣いてた。

「ねえ、何やってんの?」

馬鹿みたいに明るい声で新田は話しかけてきた。

「っ・・・何って別に・・・。」

正直ほっといて、って思った。

「あ!一組の持田じゃん!泳がねえの?!」

「・・・死ね。」

「はっ?!!死ねって何??!」

「うっさい!!!もう話しかけないで!!!!!」

本気で新田がうざくて、あたしはプールからかけだした。

「ちょっ・・・待て!!!」

がばっ・・・

あたしは新田に抱きしめられた。

「よく分かんねえけど、つらいこと一人でため込むんじゃねえよ。」

「・・・うっ・・・。」

あたしは、新田の胸でわんわん泣いた。

それから、今まで誰にも言えなかった全てを新田に話した。

新田は、ずっと手を握ってくれてて、あたしが震えそうになるたびそっと背中を撫でてくれた。

それから、あたしは新田が好きになった。
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