≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
それを聞くと、サージェルと呼ばれた少年は、ベッドから飛び起きた。


「急がなきゃ!!」


「どこへ行くの?!」


サージェルの母親は、先程までとは違い、少し厳しい口調で少年に尋ねた。


「ほら・・昨日言っていた・・・」


「サージェル!!

今日はイケナイと言ったでしょう。

山焼きが終わったら行ってもいいわ。

でも、今日だけはダメ。」



「でも・・心配なんだ!

ちゃんと、子鹿が産まれたかどうか・・・

もし、難産なら助けてやらないと・・・

時間までには戻って来るよ!

だから、お願い・・・」



母親は困った顔をして少年に近付き、彼の柔らかい髪を撫でた。



「サージェル・・・お願い・・・

今日だけは、母様の言う事を聞いてちょうだい。

あなたは、夢中になると、すぐに時間を忘れてしまうわ。

王様は非情なお方よ。

もし、あなたが戻らなくても、何事もないように、山焼きを開始なさるわ。

母様はそれが心配なの。

あなたを危険な目に遭わせたくないの。

私と、それから父様の大事な大事な、たった1人の息子ですもの・・・」



母親は、半分涙ぐんでいた。



「・・分かりました・・母さま・・・」



サージェルがそう言うと、母親はホッとした表情を見せた。



「そう、良かったわ。

あなたが聞き分けのいい子で・・・」


そう言い終えると、母親は少年の金色の髪から手を離した。

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