≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

「樹花ちゃんがお前に電話しようとしたけど、携帯の電波の入りが悪くて、
それで、推測なんだけど…樹花ちゃん、電波の入りやすい屋上の方に行ったんじゃないか…って…」


長谷川が喋り終わる頃、アスカは下をうつむきながらそのハスキーな声を震わせた。


「あたしが・・あたしがちゃんと付いていてあげてたら・・・あの時・・・電話をかけに樹花の傍を離れたりしなければ・・・こんな事には・・・・」



アスカはやり場のない後悔の念で、押しつぶされそうに見えた。


しかし『やり場のない』というオレの判断が間違っていた事にすぐに気付かされた。


アスカの『やり場』は、すぐさまオレの方へと飛んできた。



「だいたいアンタさ・・・どういうつもりで樹花と付き合ってたワケ?

他のオンナと抱き合ってたんだって?朝っぱらから!!

樹花・・泣いてたよ・・・

あーーー、もちろん・・・樹花はそんなアンタでも責めたりしてなかったけどね!

アンタの事をケチョンケチョンに言ったのはあたしだけ!!

あたしだけだよ・・・・」



「アスカ・・・」


長谷川が心配そうにアスカを見つめた。



















「おーーーーっはようっ!」


アスカはいつものように、その大きな声と共に樹花の病室へ入ってきた。



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