あたしの仮旦那は兄貴の親友
気付かれた小さな存在
「果恋ちゃん、体調悪いの?」

吐き気がおさまってから
あたしはトイレを出ると

そこには
出席簿を持っているあいつが立っていた

「あ…ん
少しね、少しだけ」

あたしは作り笑顔で
無理やり元気そうに両腕をあげた

「昨日、兄貴の料理を
食べ過ぎたのかも」

あはは、と乾いた声を出す

これで平気だろ

妊娠してるなんて思わない

あたしは良く食べるとあいつは知っている

兄貴の手料理が好きで
よく食べ過ぎて腹を壊しているのを
何度も目にしているんだ

大丈夫

ただの食べ過ぎだと理解してくれるさ

< 11 / 125 >

この作品をシェア

pagetop