あたしの仮旦那は兄貴の親友
「ちょ…そんなことで学校を休んだのか?」

「『そんなこと』?
大事なことじゃないか
きちんとした場所でプロポーズをするのが男の努め
それを仕事という理由でおざなりにするわけにはいかないんだ
有給を使ってセッティングするくらい
別に大したことじゃない」

大したことだろ!

なんて理由で学校を休んでるんだ

教師のくせにっ

何を考えているんだ

「あ…あんた、本気でそう思ってるのか?」

「ん?」

あいつが不思議そうに首を傾げる

「誠也の身体に流れてる血は
きっと日本のモンじゃねえな
フランスとかイタリアとか
あっち系じゃねえの?」

兄貴が呆れた声で言うと
ばたんと
ソファに倒れ込んだ

「あーねみぃ」と呟きながら
ガシガシと髪をかきむしっている

「廉人は仕事だろ?
さっさと行ったほうがいい」

「それって邪魔ものはさっさと出て行けってことか?」

「そうとも言うかな?
僕はそんな酷いことは言わないけど」

「しっかり言ってんじゃねえかよ」

兄貴がソファに座ると背伸びをした
< 22 / 125 >

この作品をシェア

pagetop