あたしの仮旦那は兄貴の親友
美雪さんがにこっと微笑んで
あたしの足をすっと撫でた

「そうなのよねえ
スマートなやり方じゃないのが玉にキズなの
私らしくないやり方で
申し訳ないけど
誠也が振り向いてくれないから
妊娠しているのに…」

美雪さんが優しく自分の腹を擦った

「そういえばあなたの鞄の中にも
あったわね、母子手帳が
父親はもしかして…」

「久我先生です」

「そう…何カ月?」

「4カ月です」

「気に入らないわね」

美雪さんが立ち上がると
あたしの腹を目がけて
足を振りあげた

「ちょ…」

何をするんだっ

あたしは美雪さんにとっさに背を向けて
お腹をガードした

「あら、残念。お腹が蹴りたかったのに」

あたしは身体を丸めて
お腹を守るように身を縮めた

「そんなことをしても無駄なのよ」

美雪さんがにこっと笑った

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