Air ~君と一緒に~

~回想~ 触れる、手

「あー、疲れたー。」
「そうだね。美術部もお客さん来てたね。」
「あ!見に来てくれたの?」
「うん。水野さんはいなかったみたいだけど。」
「そっかー。買い出しに行ってる時だったのかな?」
「綺麗な絵だったよ。すごく青が印象的だった。」
「面と向かって言われると照れるなー。でもありがと!」

中庭を照らす灯りだけで、薄暗い廊下。
そのちょうど真ん中あたりで並んでいる僕たち。

「こうしてゆっくり話すのもなんだか久ぶりね。」
「うん、ずっと準備で忙しかったからね。」

僕は右手で目を擦り、再び手を降ろした。
「・・・あっ。」
僕が手を降ろすと同時に水野が小さく声をあげる。
そこにはひんやりとした廊下の感触はなく、彼女の左手があった。

「あっ。」

僕も声をあげる。
でも手を動かせない。
まるで金縛りにでもあったかように。

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