パステルクレヨン


「ぶっ」



あたしの指折りは、ヒロコの吹き出しによって終了した。


あたしは急に恥ずかしくなってきて、精一杯の照れ隠しをする。


「いや、悪い。かわいいなって思って。いいことじゃねぇか。人のいいとこそんなに見つかるなんて」


チハルちゃんも、横でニッコリ笑っている。



「そうだよ、杏ちゃん。やっぱりそんな紳士みたいな人には、ヒロちゃんみたいなカッコいい系でもなく


あたしみたいな癒し系なのかお色気系なのか分からない人でもなくて


杏ちゃんみたいな純粋で素直な女の子が一番お似合いなんだと思うよ」



言われた途端、顔が赤くなるのが自分でも良く分かる。



…分かってる。


こんなのは、味方の意見。


ただの自惚れでしかないことにも、もう気付いてる。





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