ただ、大好きでした。
「…、ひさしぶり」
取り巻く空気が、息を吹き返す。
周りには、従業員も、仲間達も。誰だか分からないお客さんだって、沢山いる、はずなのに。
その小さな通路だけは、本当に、2人だけの、スペースで。
「元気だった?」
心臓が、必要以上に、命を刻みはじめる。
「おう!てか毎回こんな会話ばっかじゃね?」
「はは!確かに!」
顔を崩せば、目尻に溜まっていた雫が、ヒカリを宿して。
…頬を伝うことは、ないけれど。
─…世界って、こんなに生きてたんだね。
そう、思い出すんだ。