銭コ乗せ

終わった…。

完璧に終わった…。

俺はトボトボと、宛てもなく街を彷徨っていた。

俺はボスに…始末されるのだろうか。もちろん始末されるだろう。

ボスは、

始末すると言った。

そしてそれを、

必ず守るとも言った。
あの人が言うんなら、俺は必ず始末されるに決まってる。


そうに決まってる。


今さらあんなマジックハンドを、一万円に出来るはずがない。


いっそあのアームで首を締めて、死んでしまおうか。


もう夜もすっかり更けた。こんな時でも、誰かがちゃんと、見張っているのだろうか。

ん?



見張り?



これはまだ…いけるんじゃないか?


いや、しかし…それではまだ弱すぎる。


何か…

何か…


―ギッチャギッチャッ―


俺の頭の中に、ふいにあの音が鳴り響いた。


そうか!

それならなんとか…!!


俺は死ぬ。
たぶん、八割方死ぬ。いや、九割は…

ともかく、


それでもまだ可能性はある。


だったら行くところは


一つしかない。


―ギッチャギッチャッ―


「その前に練習が必要だな。」
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