銭コ乗せ
「僕は、君のために言ってるんだぜ。」

言いながらつかつかと俺に詰め寄ってくる。

「屋敷を出なければ、試験は始まらない。僕らの試験はさぁー、まだ始まってないんだよねぇー。」

さらに詰め寄ってくる。

「スタートもしてないのに中味を探る。それってさぁーボスのルールにいちゃもん付けるってことじゃないかい?」

顔がもう目の前まで近付いてきた。

「君はボスに歯向かう気かい?」

キツネ眼が耳元で囁いた。

「やめろ!」

俺はキツネ眼を振り払うと身構える。

「おー、コワイコワイ。とてもこれからお仲間さんにはなれそうにないですねぇ。」

確かにコイツの言うことには一理ある。
ここで中味なんか確かめたら、どうなったことかわからなかった。危なかった。だから俺はコイツに助けられたとも言える。

一理ある。

それから、


コイツとは仲間には絶対なれない。


だからコイツの言うことは、


一理、ある…!
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