雨粒ドロップ


この部屋にある窓は一つ。しかしその窓は完全に閉まっている。

…この風は…一体…?!


唸るように吹き荒れる嵐の様な不思議な風は、床に散らばっている割れた皿の破片を巻き上げた。

そしてその皿の破片はまるで意志があるかの様に…

一斉に雛の方を向いた。


「…っ!雛!危ない!!」

言い終わるか終わらないかのうちに、愛璃は走り出していた。


「…愛璃―…

来ちゃだめ、と続けようとしたその瞬間、皿の破片が飛び込んできた。


「―っ?!」


雛は、恐怖で立ち上がる事もできず、ただただ目を瞑る事しか出来なかった。
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