雨粒ドロップ



「いーやーだーぁぁぁあ!」




黄昏の光が差す洋館の前に響く、1人の少女の雄叫び。


「『嫌だー!!!!』じゃない!雛を助けたいんだろ?!」

そこには脩人に引きずられる愛璃と、愛璃を引きずる脩人の姿が。


「嫌だぁぁあの糞餓鬼珱魅には会いたくねえぇぇー」

愛璃は手足をバタつかせて必死に抵抗している。

「いい加減諦めろ!糞餓鬼くらいお前の裏拳で殴り飛ばせ!」


2人は洋館…皓月探偵事務所の前で、何やら言い争っていた。
…そこに、ガチャっと重い音を立てて開く洋館の扉。


「…誰が糞餓鬼だって…?」

ドアの向こうからしかめっ面の少年。


「おーう!よーび久しぶり!」

「…。」

ドアから現れたのは、あの糞g…じゃないや。

少年探偵・珱魅だった。


「…お前…なんでここに居る?」


珱魅は脩人を汚いものでも見るかのような目つきで睨む。


「あー。ほら、俺自由奔放なやつだからさー」

脩人はヒラヒラと手を振って誤魔化すように言う。



「…落ちたのか」

珱魅は表情一つ変えずにぼそりと言う

「…」

そして脩人は固まった

「…図星か」


「…それより、外寒いから上がらせて貰う」

脩人がのこのこと家に上がろうとする。


「…1分滞在につき1000円。」

「…」

「…」



「…鬼。金の亡者。」


「何とでも言え。」
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