初恋の向こう側
 
その時、後ろでガチャっと無粋な音がした。


「お兄ちゃん、お母さんがいい加減起きろって怒ってるよ!」


入ってきたのは真央。

反射的に俺は、凄い勢いでカーテンを閉めた。

布地を握りしめた手を顔の前で合わせた妙な姿勢のまま振り向くと、そんな兄を不振に見つめる妹と目が合った。


「……何してんの?」

「っるっせーな! いきなり入ってくんなよ!!」


って怒りは、ノックもせずに開けられたことよりパニくり気味なテンションのせいの方が大きく。

それから『くっそー! イイとこだったのにー!!』っていうエロ心。

プラス『見れなくなったじゃねーか!』っていう苛立ち……。

我ながら青くてアホだな、って思った。


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