初恋の向こう側

駅を出て並んで歩く。


「ねぇ、知ってた? あたし今月誕生日なんだけど」


ヒロが俺の顔を覗きこむ。


「わかってるよ。21日だろ?」

「誰かさんには前科あるから、前もって言っておかないと」


前科とは、去年の夏祭りの一件の事だ。


「でもさ、二月の俺の誕生日って何にも貰ってないよな?」

「何言ってんの? ちゃんとチョコあげたじゃない」

「……それってバレンタインのじゃね? 日にちも違うし」

「贅沢を言うな!! 貰えるだけありがたいと思いなさいよねっ!?」


俺達の関係は、昔っからこんな感じ。
再会しても成長しても、変わりはない。


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