初恋の向こう側
悪戯な運命


「ねぇ、それにしても遅くない?」


その一言で俺は、ヒロの首筋に埋めていた顔を上げた。


「そういえばそうかも。特に逢坂さんが、」


そう言いかけた時だった。

テラスに面したガラス戸が勢いよく開かれ、入ってきたのはオサと愛莉だった。

俺達の前に立つ二人。
……けど、様子が変だった。

息切れ、深刻な表情、そして顔色まで悪い。


「どうした?」


尋ねながら嫌な予感が走る。

あてなんて無いはずなのに、何故か妙な胸騒ぎがしたんだ。


「何かあったの?」


ヒロも同じように感じたんだろう。ゆっくりと愛莉に向かって尋ねた。


「逢坂さんが ─」


言いかけた愛莉が、そこで言葉を詰まらせた。

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