初恋の向こう側

* * *


風呂上がりに部屋で雑誌を読んでいた。

突然ドアが開いて、 そこからひょっこりと顔を出したのはヒロ。


「なーにしてんの?」


驚いてベッドの上に飛び起きた。


「なっ 何してんのじゃないだろ! なんでいきなり入ってきてんだよ?」

「いきなりじゃないよ? ちゃんと下でオジさんとオバさんに挨拶したもん」

「そうじゃなくてっ」

「あ、もしかして見られちゃマズイ状況だった?」


と俺の手元をのぞく。


「もしも梓真が下半身丸出しでナニかしてたら、その時は見なかったことにして帰ってあげるわよ。あたしだって、その位の気は使えるし」


何を言い出すかと思えば、下半身丸出しって……。
もうちょっとオブラートに包めっつーの。


「そ、そんなことしねーよ!」

思わずムキになって言い返すと

「ウソッ! しないの?」


年頃なのにー、なんてブツブツ言ってるし。まったく溜め息が出る。

それで「で、何?」って訊いたのに、「なにが~?」なんて全然聞いてない様子で、勝手に部屋の中を物色してる始末。


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