初恋の向こう側

ところがだ。

二時五分前になって現れたのは、哉子さんではなく中森さんだった。


「何で、中森さんなんすかっ!?」


これ以上ないくらいガッカリした顔を向ける俺に


「そ、そんな顔しないでくれるかな。僕だって急に頼まれたんだから…」


モゴモゴ言うミノル。


急用が入った、と店長に連絡を入れたらしい哉子さん。

それで中森さんはシフトに入るように頼まれたらしいのだが……。

こんなことなら店長も、朝会った時に言ってくれればいいのに。

どうしてくれるんだよ、このテンション。

下がりまくりだっつーの!


こんな気分のまま中森さんと無駄話をする気がない俺は、三時きっかりにタイムカードに打点した。


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