彼の愛は永遠だから、サヨナラは言わない

命をかけて

私たち江南高校は勝ち進み今日は準決勝だ。



これ以上、西條先輩に無理はさせられない。



もう本当に無理だよ。


お願いだから、誰か止めて。


西條先輩がトイレで吐いてるのを見つけてしまった。



「西條先輩、お願いします。これ以上自分の体を虐めないで下さい。今日の準決勝は小山主将にお願いしましょう。」


西條先輩に睨まれた。


西條先輩のこんな怖い顔は見たことがない。


「うるさい。千比絽は俺から離れろ。いいか誰にも言うな。俺は必ず投げきって見せる。」


西條先輩がそのまま倒れる。


誰かを呼びに行こうとすると、腕を掴まれた。


もう、無理だよ。


命より大切なものなんかない。


「頼むよ、千比絽、俺との約束守ってほしい。どうしてもこの回を投げきって、優勝したいんだ。」


自分で立てないくらいに、体が弱っているのに。


西條先輩、お願いだから、これ以上は絶対無理です。



「命の方が大切です。たとえ優勝出来ても死んでしまったら、甲子園には行けないんですよ。もっとみんなを信頼して下さい。」


西條先輩に突き飛ばされた。


「うるさい、いいからそこをどけ! 」


何でここまでするの、命をかけるなんて間違ってる。


命より大切なものなんてない。


私は必死で、西條先輩にすがりついた。


誰か助けて。


このままだと西條先輩が死んでしまう。












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