木苺の棘
私達は、自分の名前が
好きじゃないという共通の
悩みを持つ事をきっかけに
急速に仲良くなった。

八重と毎日一緒に過ごす。

八重の真似をして話す内に
私は、自然と標準語で話せる
ようになっていた。

それから、私達は晴れた日も
雨の日も、風の日も手を繋ぎ
学校へと通った。

たまき先輩に出逢ったあの日

私達は、それまでずっと
繋いでいた、その手を
放してしまった。

あんなにも同じ時を過ごして
楽しみも悲しみも、全て
共有してきたのに・・・

目の前に現れた、先輩が
あまりにも眩しすぎて
二人で歩んで来た世界が
一度に色褪せてしまった。

恋を知り、心が囚われて
貴方しか見えなくなった・・
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