木苺の棘
懐かしい、大好きな香りに
ほっとする私。

巽に抱かれてながら
眠りに付くように瞳を
閉じた。

ほんの少しの眠りの中で
私は、夢を見た。

久しぶりに夢で逢えた貴方は
悲しそうに私を見つめた。

違うよ、違う。

決して、貴方を忘れていた
訳じゃないよ。

ただ、私は、漣に
夢中になっただけ・・・

夢中になって

貴方を忘れた?

頬を伝う涙に、貴方の指先が
触れながら、貴方の唇が動く

『いいんだ・・・』

「タツミ・・・?」

『俺を忘れて・・・』
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