木苺の棘
抱く腕が、きつくきつく
私を縛る。

敢さんの悔しさ、苦しみ
深い悲しみが、私に触れる
手から伝わる。

巽を失った私達は、同じ
悲しみを背負う。

ふと我に返った敢さんは
私から、距離を取った。

「すまない、お前に
 触れたりして・・・」

「いえっ、それよりも
 大切な話と言うのは
 巽の事ですか?」

「ああ」

貴方は一呼吸ついた後
重い口を開いた。

「アイツは組の連中に
 貶められた結果
 殺され、命を絶った」

「おとしめられ・・・
 殺された?」
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