自伝
それから、実家にはほとんど行かなくなってた。

昼間、子供達も保育園に行ってるから1人の時間が持てた。

早瀬さんの事ばかり考えてる自分に嘘はつけない。


「何か捜す手段はないのかな…」


雑誌をめくりながらふと、目についた


「探偵?」


迷わず電話した。


早速、翌日その探偵事務所を訪ねた。


「いらっしゃい。昨日電話くれた方ですね」


「はい」


「じゃあ、相手の方の情報を出来る限り教えて下さい。」


名前は?


「早瀬 優」


年齢は?


「26才」


お住まいは何処にいたんですか?


「鷺沼しか分かりません」


生年月日は?


「知りません」


何処の生まれ?


「知りません」


この会話で気が付いた…


私は早瀬さんの事…何も知らない。


あんなに毎日一緒にいたのに…


変にかっこ付けて…私は早瀬さんに何も聞いてなかったんだ…。


「うーん…これだけじゃ捜すの大変ですよ…」


「ですよね…
でも、写真があります!一枚だけだけど」


昔、会社のみんなと撮った写真…。


「なんとか、やってみますが、お時間と費用もかなりかかりますが、大丈夫ですか?」


「どれくらいですか?」


「前金で30万、日数は最低でも2週間以上です」


「お願いします」


「分かりました。」


翌日、30万円を振り込み連絡を待つ日々が続いた。
< 104 / 284 >

この作品をシェア

pagetop