自伝
「私ね、もう直ぐ相模原のほうに引っ越すんですよ」


「何でまた、相模原へ 」


「なんとなく」


本当は早瀬さんが今住んでるいる2つ後の駅だから。


「そうかぁ…引っ越し決まったら教えてな」


「勿論です!一緒におそば食べましょう(笑)」


「何でそばなんだ?」

「引っ越しそば!!」

2人で声を合わせて言った。


ぷっ…


「何だかな(笑)綾と居るとなんか元気が出るんだよな…本当…不思議な女だな(笑)」


良かった!


早瀬さんが笑った!

「綾…今の会社さ、忙しくてなかなか電話とか出れないから、携帯に電話くれる?」


「早瀬さん携帯持ってるんですか?最近出たばっかりでものすごい高いらしいのに…」


「会社のだから」


「今、何をしてるんですか?」


知ってて、わざと知らないフリで聞いてみた。


「呉服屋の営業だよ」

「そうなんですか」


本当は日本橋の小さな会社の倉庫で、荷物の出し入れをしていた。


あえて否定はしないけど、本当は私には見栄とか格好なんてつけて欲しくはなかった…。
< 111 / 284 >

この作品をシェア

pagetop