自伝
「おう!悪いなわざわざ案内してもらって」


「いいですよ、家知ってるのは私しかいないんだし、林田さんと違って私は外で待つしかないんですけど…」


「しばらく話したら、外に連れ出してやるから」


「ありがとうございます」


「しかし、上手く行かないもんだな」


「本当ですね」


これです。


探偵の資料を助手席の林田さんに渡した。


「ふーん…そうか…」

資料を見ながら、林田さんは話し始めた

「もう、知ってると思うけど…早瀬…加藤がなんで早瀬か」


「どうしてなんですか?」


「アイツさ、昔はちょっとした有名なデザイナーだったんだよ…でもさ、有名ブランドのデザインにそっくりな企画してちょっと裁判沙汰になった事があってさ…」


「…」


「結局、デザイナーの加藤だとこの業界じゃやって行けなくてさ、でもアイツの才能潰したくなくて…早瀬の名前で俺があの会社に引っ張って来たんだ。」


「そうだったんですか…」


車が走り出してから20分後


古いアパートにたどり着いた。


「つきましたよ」


「なぁ…仲田はここには…」


「初めてですよ。私も初めて来ました。だから、なんか物凄く緊張してます」


「そっか…。
なぁ?お前も行こう」


「えっ!?いいですよ、私は車で待ってます」


「いいから!」


林田さんに進められて一緒に訪ねる事にした。


勿論、早瀬さんには連絡はしていない。

< 122 / 284 >

この作品をシェア

pagetop