自伝
西日暮里の駅のそばにある喫茶店で待ち合わせた。


雄一郎は仕事の先輩を連れて来ていた。

「お待たせ」


「初めまして」

山本さんは落ち着いた感じで席に座りながら、雄一郎に挨拶した。


雄一郎は顔をヒョコンと動かしただけで何も喋ることはなく

先輩が代わりに話し初めた


「まぁ…僕が話すのも変ですけど、コイツ真面目に綾ちゃんの事考えてるから」


すかさず、山本さんも切り出した。


「そうなんでしょうけど、僕も彼女とは結婚を考えています。勿論子供のこともちゃんと考えて受け止めてますから」


「…」


そんな事今まで一度も言ってくれなかったから


凄く嬉しかったし、驚いた。


雄一郎はうつむいていた顔を上げて


「俺の分まで綾ちゃんのこと…幸せにしてやってください。」


そう言ってまた、うつむいた。


先輩が


「本当にいいのか」



雄一郎はただうなずいていた…。


「これまで、彼女があなたや友達に支えて来てもらった事は知ってます。でも、これからは僕がずっと支えますから」


「山本さん…」


「行こうか」


「うん…」


「他に何もなければ失礼しますが」


2人は山本さんの迫力に圧倒された感じで黙ったままだった

こうして、意外な所で山本さんからプロポーズされ

いつも一緒にいた仲間が1人減った。
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