自伝
あれから、毎日は普通に過ぎてテレビのCMはXmasバージョンばかりになり、街行く人達も足早になっていた。


「明日はXmasイブか…」


友達からの誘いを全部キャンセルして、心のどこかで早瀬さんを信じていた。


イブの日
仕事が終わって、帰る支度をしていた私に早瀬さんが近づいてきた


「久しぶりに渋谷から帰るか?」


「はい!…でも、車が…」


「とりあえず、今日は置いて帰っても大丈夫だろ?」


「まぁ 明日は休みだし使う予定はないです」


「じゃあ、行こうか」

かなり、道が渋滞していていつもなら20分位で着くのが40分もかかってしまった。


「さすがに、今日は混んでますね」


「そうだな、でも…これでいいんだ」


「?」


車は渋谷を抜けて246を神奈川に向かって走っていた。


「どこ、行くんですか?」


「見せたい所があるんだ」


少しワクワクしてきて、それ以上は聞くのをやめた。


いつの間にか、車は246の上に架かる狭い橋の上にあった。


「ここだよ」


「?」


「車のライトと遠くの夜景がXmasツリーみたいだろ?」


早瀬さんの目線の先には、遠くまで続く246の真っ直ぐな道に渋滞で繋がる車のバックライトや、テールライトがキラキラしていた。


「本当だぁ!!キレイ!キレイですね!!」


はしゃぐ私をにっこりしながら見ていた。


「綾…」


そっと、引き寄せて優しくキスをした。


・・Merry Xmas・・
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