四十六億年の記憶
五日目


 「土を食べて生きていくことは即ち、あなたを食べて生きることなのだと考えた」
目の前の彼の青い目が見開かれた。
「知って、いたのか」
「あなたがそんな顔をするなんて珍しい」
彼がわたしに答えをくれないように、わたしも彼に答えをあげることはしなかった。


 ずくん。腹が疼いた。
「どうした。腹でも減ったのかね」
ウェイターを呼びつけ、メニューの端から端までの食物をオーダーする。
「満腹のうちは不幸だと自覚しなくてすむ」
空腹の時は、不幸だ。
「それは代償行為だろう」
心底呆れたように彼は言った。
後に続く言葉は聞かなかったことにした。


 湯気の上がる料理が運ばれ、テーブルを埋め尽くした。
無言で食べるわたしを、彼は理解しがたいものを見る目で見ていた。
「馬鹿者め」
「こうしなければわたしは愛を自覚できない」
「自分の首を絞めていることに気が付かないか」
「気付きたくもない」
























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