優しい嘘−最低な兄に恋して−【上】
−可哀想な子……−


−俺がいなきゃ生きてけない……−




そんな言葉があたしに襲いかかってくる。


あたしまた同情されてるんだ。




子どものころもよく同情されていた。


父親がいなかったから周りからは可哀想と言われ続けてきた。



でも、自分では何が可哀想なのか全く分からない。


父親は始めからいないし何とも思わなかった。

どうして、あたしにはパパがいないの?とか思った事はあったけど悲しいと思った事はなかった。



パパがいない分ママは頑張ってくれてたし。



今だってママが死んだなんて夢にしか思えない。
だから悲しいなんて分からない。





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