かけがえのないキミへ


俺はメールを見ていく。

《もしかして知ってる?》


《何を?》


やっぱり竜也は単刀直入だから困る。
何をって聞かなければ訳が分からない。

俺は竜也からのメールを待った。
竜也を見ると、携帯を開いて、メールを打っていた。

黒板の前では、世界史の先生が黒板一面に世界地図を書いていた。


数分後、竜也からまたメールが届いた。


《あやちゃんの声のこと》


この文字をみた瞬間、俺は一瞬だけ動きが止まる。
さっきの『だめ』という言葉が、竜也には引っかかっていたのだろう。

《またあとで話す》

俺は一体こう送り、携帯を閉じ、空っぽの机の中に放り投げた。
竜也も俺のメールを読んで机の中にしまっていた。


人間は嫉妬深い。



だから嫌いだ。


俺は頬杖をついて、目を閉じた。

綾音、綾音…


やっぱりキミの笑顔が最高だ。



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