かけがえのないキミへ
梨花とさっきまで繋いでいた右手を見る。


『何してんだろ、俺』


そして途方に暮れる。
後悔の波が押し寄せてくるんだ。



駅を出て、駅前の時計台を見ると、時刻は18時10分。


ゆっくり時計台から視線をずらすと、空にはシャボン玉が浮かんでいた。


『あの子だ…』



シャボン玉を飛ばしているのはキミしかいない。


俺はあのベンチがある場所に足を動かす。


そこには、キミがいた。
また一人でシャボン玉を飛ばしていた。



今日のシャボン玉は何色かな?と、キミが飛ばしたシャボン玉を見る。



今日はオレンジ色だ。



俺は遠くからキミを見ることが出来なくて、
キミに話しかけたくて。


でも今日、決心したんだ。


キミに近づきたい。
キミと話がしたい。


キミの声が聞きたい…


キミを知りたい─……



キミを──…キミを…



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