かけがえのないキミへ


辛い過去がある人には、今から幸せになって欲しい。
この先、辛いことばかりじゃない。
いつか光が射すから…
その光はきっと、幸せへと道標となるだろう。

カーテンから覗く、この光だって、もしかしたら幸せに続いているのかもしれない。

俺は信じるよ。


『…今は幸せすぎるわ、怜君のお父さんと出逢って本当に良かった…』


お母さんは、薬指に輝くダイアモンドを見つめながら幸せを零す。
表情からもう分かるよ。幸せだって…


『俺も綾音と出逢って良かった。なにか変わった気がする。綾音と出逢って、俺の中が…』


『綾音はなにを思っているのかしらね?…私は綾音を遠くから見守ることにするわ。いつかあの子の声と笑顔が見れる日まで…』


タバコを灰皿に押し潰して、お母さんは立ち上がった。


隣に置いてあったブランドのカバンを持って、俺に近づく。



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