かけがえのないキミへ


『めんどくさ…』なんて呟いている暇などなかった。
早く学校に行かなきゃなと思い、カバンを持って、その中に携帯を投げ入れる。

ローファーを履いて鍵をしめた。


本当は行きたくないけれど、休んだりしたら、俺は一日中このマンションで一人ぼっち。
そんなの御免だ。
だから、友達や、自称彼女と名乗る人物たちに会いにいく。


学校まではそんなに遠くないので、iPodを耳にはめ、大好きな音楽を聴いていたら、あっという間に着いてしまった。


教室に向かうと、担任の先生に捕まってしまう俺。
こういう時、うまく逃げられないから嫌だな。と自分の弱いところを責める。



『城谷、お前遅刻しすぎだぞ?』


白髪混じりで、メガネをかけた担任の先生が俺にこう言う。


こいつの名前なんだっけ?



『城谷!聞いているのか?』



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