かけがえのないキミへ


いくらなんでもヒトの彼女を奪ってしまうほど、俺は最悪な男じゃないよ?


でも、俺は最悪だった…

雨は止むことを忘れてしまったかのように降り続けていた。

午後の授業は比較的楽だったため、全て爆睡。
夢までは見られなかったけど、よく寝た方だ。
起きた時にはもう全ての授業が終わっていた。


『怜!行くぞ!ほら!』

竜也は俺の腕を引っ張り、椅子から無理矢理立たせようとする。
俺は仕方なく、立ち上がり、カバンを持って教室から出て行った。

欠伸をしながら、待ち合わせの時計台へ竜也と向かう。

ビニール傘はよく周りの様子が見れて、なかなか便利かもしれない、とこの時初めて思った。


『あ、いた!あの子だよ!』


竜也が指さした方向には、俺と一緒、ビニール傘をさした、セーラー服を着た女の子が立っていた。

どこかで…見たことのあるセーラー服……



『あやちゃんー!』


竜也がその子に向かって名前を呼んだ。
その子はゆっくりと、こちらを振り返る。




……キミは……


もう、ヒトのモノ……




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