共に行く者
「でもあの後どんなに飛び移っても、平気だったろ」

「まあ、ね」

しこたま怒られたものの、オレは塀を登って、木に飛び移ることを止めなかった。

そのまま孝一の部屋のベランダに飛び降りれば、いちいち玄関を通る必要が無くなったからだ。

手間と時間を省くために、オレは今でもそのやり方だ。

まあ子供の時と違って、体格も大きくなったし、運動神経も上がった。

なので今は自分の部屋の窓から隣の木に飛び移れるようになったが…。

「今じゃ僕1人が心配しているワケだね」

「いい加減、オレの運動神経を信じろよ」

「信じてはいるけど、それとこれとは別だよ」

「んなもんかねぇ」

「そうだよ。和城は案外無防備だから、不安になるし、心配もしてしまうよ」

そんな落ち込んだ顔をさせるほど、オレって無防備だろうか?

「和城はなまじ頭も良いし、運動神経も良い。それに加えて顔立ちも整っているのに、どこか抜けている。それが心配で、僕はキミと一緒にいるかも」

「なっ!? お前の方がオレより弱いじゃねーか!」

「腕っ節ではね。でも人の心とかは、キミよりは分かるつもりだよ。鈍いところもあるから」

「うぐぐっ!」
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